上段の小物入れの引違扉です。 鏡板は超安物のべニアに玉杢のタモを貼ってあります。 なんていうんだろう、框の内側のモールは多分樺だと思います。引手の丸い金具も汚れまくってます。
何の模様なんだろう?しばし考えましたが解りませんでした。深く追求するのはやめておきます。
これは裏側です。上と右は鉋掛けを済ませました。左と下はまだです。きちゃなさの度合いがわかりますか?
モール部分の角です。汚いだけじゃありません。がっつり凹んでる部分も放置したまま。この部分は径の合う丸棒にサンペを付けて磨き、そのあと刳り小刀で綺麗に削ります。 いえ、やってみればそれほど難しくありません。材が硬いので簡単な部類に入るでしょう。
背板を外します。杉の2分板です。例によって接着剤と小釘の併用。釘は錆びまくってます。接着剤が効いてない処と、しっかり効いている部分があって、何枚かは割れてしまいました。
試しに鉋掛けしてみました。これは外側になっていた面。凹凸が激しいです。
こっちは内側。やはり若干の凹凸がありますが、外側よりはましです。
内側もこの程度の鉋レベルです。職人の仕事とは思えないレベルです。
上段の全景です。右側に引違い扉の付いた小物入れ。奥に1/4円の小棚が覗いてます。下に小さな引き出し3枚。左は開き戸で、中に3枚の薄いトレーみたいなものがありました。写真はそのトレーを抜き差しする部材を外した状態で撮りました。
何と、粗材のままです。1尺3寸幅、厚2分8厘と読めます。
そりゃあ確かに、この部分は目に入りませんよ。目には入りませんが、粗材のままって事はないんじゃない?
と思ってたら、この写真え底になっている部分=下の引き出し3枚のパーツと重なる部分=も粗材のままでした。
ここまで来てやっとわかりました。逆目ぼれや傷、汚れや割れ、鉋掛けのいい加減さなどなど、不思議でしょうがなかったんですが、理解できました。
これは「手抜き」を生きがいにしていた親方の工房で作られたものです。
弟子 「親方親方、みてください。今日はほら、ここんとこの鉋掛けを手抜きしちゃりました。ええでしょ?。」
親方 「おお、お前も大分手が枯れてきたなあ。じゃが、まだまだの所もあるじぇ。なんでここを面取りするんじゃ。面取りなんかいらんいらん。素人にゃあわからんのじゃから、もっと真剣に手抜きせい。俺みたいに見えんところは粗材のままに出来るようになったら一人前じゃ。」
「大馬鹿たれ、ここの摺桟にこんなまともな材料を使うな。その辺の端材を使うんじゃ。厚みと丈さえ合わせときゃあ十分じゃろ。こんなところまで見る客はおらん。」
=証拠写真はその4で公開予定=でもねえ、おいらみたいに何十年後に見つけてあきれ返るって事もあるんじゃよね。
その4につづく。