実は10月は漆強化月間でした。
漆職人ではないワタクシの場合、一度に数多くの作品を作っている訳ではありません。
従って1日で漆の作業を行う時間は15分から30分、長くて1時間が精々です。しかも、塗った後は空室に一晩、湿度を掛けた漆ムロに3日間(長ければ10日)置いておくだけっていう進捗状況です。しかも、夜に行うので、どうかすると酔っぱらってしんどいから今日はやめておこうってことになったりします。
だから、何かを完成させようとすると強化月間を設定して自分を追い込まないと、なかなか完成までたどり着けないのです。
出来ました。
名付けて「蒔絵螺鈿の角皿 藤花宵景」です。地塗りは朱合漆4回塗りで、木地の杢目が微かに透けて見えています。写真は透明感を出すために直射日光に晒しているところです。
先生は「うん、とてもよくできています。塗りはほぼ完璧ですし、螺鈿と蒔絵の構図もバランスが取れていて、意図したとおりの仕上がりになっています。惜しかったですねえ、市美展だったら市長賞間違いなしでしたねえ。」
「じゃあ、来年の市美展に出しましょう。」
「いえ、展示会っていうのは未公開作品に限るんですよ。今回のは市民文化祭で展示会じゃないんですが、未公開っていうことにはなりませんからねえ。まあ、この技法でここまで手が上がってきたんですから、後戻りするって事はありません。違う図柄や構成で行けば良いだけです。」
早く言って欲しかったなあ・・・・・・。
長網代底巾着籠、出来ました。って、これは公開済みでしたね。
裁縫の先生に頼んで巾着を付けてもらいました。絹の小紋の着物地を奮発してくれてます。
結び紐の取り付けも約束通り上手についてます。
先生に見てもらおうと教室に持っていったら「え、もう巾着を付けたんですか?本体を染めてからじゃなきゃダメですよ。一度外しましょう。」って言うじゃないですか。
「先生の作ったサンプルも染めてあるんですか?20年たって焼けてあの色になったものと思ってました。」
「染めてあります。いつものこげ茶じゃなく、薄く染めるんです。染めないと酸化して脆くなりますから、染は必須です。」
早く言って欲しかったなあ・・・・・・。