鋭意進行中の古ダンス再生を中断して、年内約束の小物3点のうちの2つ目に掛かります。
作るのは甲板径500mmの丸テーブルですが、高さを変えられるようにという条件が付いています。
ボビンレースっていうのは、ボビン(糸巻きじゃね)に巻いた糸を複数本駆使して、華奢なレースを編むっていう事なんだろうけれども、具体的にはよくわかりません。昔の西洋の貴族のネイチャンやらオバはんなんかが、襟元やオッパイ周りを飾るために使ってたようなものなんだろうと思います。 ベルギーやらフランスやらで作られてたものの様です。
そのボビンレースをやってる人からの注文なんですが、「教室で先生が斡旋してくれるのは出来が悪くて面白くない。しかも輸入品なので値段が高い。」っていうので、例の「ザ・イス」を見て注文をくれた様です。
丸テーブルは安定性に自信が無いので、今まで作った事は無いんですが、「高さが変えられる」っていうのに反応して受けちゃいました。
つまり、それでなくても安定性の悪いテーブルで、可変式のテーブルトップにするっていうことは更に不安定になること必定。こういう難しい注文って大好きです。
輸入品の写真を見せて貰いましたが、テーブルの高さは何センチか刻みで開けられた穴に鉄のパイプを差し込んだだけで、使ってるとテーブルトップは揺れるに違いないっていう代物でした。
どういう風に作ったらいいか、とっさに浮かばなかったので「じゃあ12月中に試作品を作ります。それでOKなら年明けに本番に掛かるということにしましょう。」と返事してしまいました。
まずは土台部分。十字に組んだ太めの脚台に箱型に組んだ脚を立てます。
脚の向こうの床にテーブルトップと治具が見えています。
実はこういう失敗をしちゃいました。回転中心のピンからワークが外れて、大きく切れ込んだのです。
ワークの大きさに対してピン(1.2mmの真鍮釘の頭を飛ばしたもの)が小さすぎた様です。
上から抑えたのでピンが治具の裏に抜けています。本番では改良しましょう。
脚上部に10mmボルトを受ける丸座金が仕込んであります。手前側の脚にもありますよ。
つば部分25mm、座金本体の掘り込み部14mm、ボルトが通る貫通穴は12mmです。
上部のテーブルトップと繋がる桟と、そこから垂直に伸びる上部脚です。ボルトが通る長孔を空けてあります。
合体するとこうなります。一番高い位置で78センチ、思惑通りがたつきはありません。
一番低い位置だと52センチです。52から78まで、無段変速じゃなかった、無段変高です。
実働4日ほどですが、残り少ない髪の毛が燃え上がるんじゃないかって思うぐらい考え抜きました。
施主様の確認が済んだらゴミ箱行きになる運命ですが、これを作っておかないと本番の工程で迷ったりミスしたりすると思ったので、無駄を承知で作りましたが、作ってよかったです。上下の脚の隙間の程度はきつすぎても緩すぎても駄目だと思うんですが、適切な隙間が探れたと思いますし、先ほどのテーブルトップのセンターピンなんかは、本番でミスするとダメージが大きすぎます。
でも、作り終わってみて心配なのは「これで良いです。これ使います。」って言われたらどうしよう。一応仕上げ鉋も描けてあるし、各部の面取りもしてあります。構造の接合部は天板の引付を除いて全てホゾ組みだし・・・・。
おわり