木工制作

超複雑系見積もりミスのチェスト

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2週間の手空きが出来たので、合間を縫って作っていたチェストを一気に完成させようと思います。

前にもちょっと触れたんですが、このチェストはかなり複雑怪奇な構造になっています。側面の鏡板や、各段を仕切る床板、右側の左右を仕切る板の嵌めこみ位置の溝切りを1か所でも間違えると組みあがらないし、それぞれの嵌めこみ寸法の遊びが適切でないとこれまた組みあがりません。 更に組立ての時に順序を間違えても駄目です。

従って、各ブロックごとに何度もチェックを繰り返し、場合によっては当初の設計を変更する必要があります。

それはまあ、私にとっては楽しみでもあり、そうした複雑な難問を解決しながら完成に至る行程こそが木工趣味の醍醐味だとも思うんですが、しかし、重大な問題が別にあるんです。

実は図面を描いている段階で気づいてはいたんですが、このチェスト、完全な見積もりミスでした。

このチェストは妹夫婦の発注なんですが、最初に依頼を受けた時、「まあ、こんな物にそんな大金を払う気にならんじゃろうから、X万円でやるわ。」って言ってしまったんです。

図面を描きながら頭を抱えてしまいました。材料は漠然と考えていた倍以上掛かるし、パーツ数は何と112。それも鏡板や座板などは矧ぎあわせたものを1パーツと数えての事です。薄板の矧ぎあわせは、厚板の半割り-->厚揃え-->矧ぎ-->平面出しという工程になるので、想像以上に手数が掛かるんです。桟や幕板のホゾ加工より遥かに手間なんです。それを無視しての事ですから何とも困った事です。

「あのなあ、こないだX万って言うたけど、予想より材料費が嵩むんでその分だけ何とか余分にもらえんかなあ。せめて半分だけ負担して欲しいんでY万でどうじゃろうか。手間も莫大掛かるんじゃが、それは諦めるわ。」

「え~~~、x万って言うたじゃない。まあ、Y万マイナス5千円なら出してあげても良いけど。」

「え?たったの5千円?(X+1=Yでした。)」

「嫌なら良いんですよ。元のX万で私は困らないんですから。値段は私が決めたんじゃなくてお兄ちゃんが言ったんでしょ。」

「あ、いや、そうでした・・・・・。じゃ、そういう事でお願いします。」

作業しながら悔しくて悔しくて、とんでもなく後悔しちゃいました。

これは本体を乗せる脚付き台輪です。

こういう風になっていて、

その上に本体が乗っかります、サイズはW420XD800XH1300です。加工日数は大物受注の合間に作っていたので正確には解りませんが、振り返って考えるとフルに掛かったとして20~21日ってところでしょうか。弊工房のブラックレベルの見積もり日当に当てはめても、X万の3倍以上頂かなければ間尺に合いません。

今後受注時に値段を口にすることは、厳に慎むよう肝に銘じようと思う今日この頃でありました。

グスン。悔しいから酒飲んでねよ~~っと。

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