木工制作

海賊の宝箱-2

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解体・錆び落とし編

最初に金具を外しながら、全体の状態を観察します。作った人の息遣いが聞こえてきそうな、何とも楽しい作業です。

見付側の蓋に貼られた金具はドライバーの先で3枚に切れています。60センチほどの幅の右側8センチと4センチの2枚が継ぎ足してあります。

おそらく長さの足りない48センチの金具があったのを、60センチの金具に替えるのが惜しくてその辺に余っていた端切れを使ったと思えます。それも12センチのが無かったので8センチと4センチの2枚にしたものでしょう。

模様も繋がっている様でつながっていません。

蓋を取り外しました。木口の部分の傷みがかなり酷い様です。

蓋の奥側1/3ぐらいは本体に釘止めしてあります。釘の打ち方が乱雑で、側面の板の外側や内側に突き出し、側面の板をかなり痛めています。強引に取り外します。

この鋸跡はなんじゃろうね?暫く考えてわかりました。蓋の下がり部分の板が長かったのを、打ち付けた後で挽き切った傷です。向こう側にもあります。なんでこういう事をしたのかは全くの謎です。上板も長くて切ったのなら間違えて全体を大きく作り過ぎたって事でしょうが、鋸跡は側板上部の木端には付いてないので、下がり部分だけ長くなっていたとしか思えません。

蓋を解体してみました。表面を鉋掛けしてみましたが、手鉋で平面を出すのは無理です。凹凸が激しく、木目も錯綜していて時間と労力の無駄です。電動ガンナとサンディングに変更。それでも全体の厚みが13mmから9mmになってしまいました。

表側のサンディングが終わった状態です。端の部分に色の濃い部分がありますが、元々こういう色だったようです。ひび割れや痛みの部分が散見されます。パテ埋めして砥の粉を付けて漆の下地調整とします。

裏に4mmのシナベニアを貼り付けました。これで厚みはオリジナルの13mmになりました。内側全体にシナベニアを張り、柿渋を塗った後で木固めエース・蜜蝋仕上げとします。箱本体の内側をサンディングするのは無理なので、粗めの番手のサンディングをざっとかけ、上からシナベニアで覆う方が仕上がりが綺麗になると思います。

シナベニアを貼る時に違和感を感じていたんですが、案の定直角が狂ってます。曲尺を持ってなかったんだろうか?それともこの程度の狂いは別に気にならなかったんだろうか?

多分後者だと思います。

 

金具を外した側面です。明らかに金具を貼った後で柿渋(多分)を塗った事が見て取れます。黒錆が材に染み込んでいますが、これが予期せぬ厄介の種になろうとはこの時点では思ってもいませんでした。

釘穴は全て木釘で埋めていきます。この面だけで26か所ありました。

木釘を打つ前に下穴錐で釘穴を揉んだんですが、錆交じりの屑が出ています。木地の痛みはかなりのものです。釘を打つ位置もいい加減で、接合部に打ってあるのがわかります。これじゃあ効かんじゃろうね。

まあ、その分無駄に沢山の釘を打ってあるとも言えます。

金具の方はこんな感じです。浮いた錆びをワイアーブラシで落とし、錆び落とし剤を塗って更にワイアーブラシで擦ってこの状態です。錆び落とし剤は黒錆には効かないので、半端に柿渋と反応した黒錆に赤錆が絡んでいます。この状態では次の黒染めには進めません。

仕方が無いのでマイクロルーターに助っ人を頼みます。錆びを丹念に落として行くんですが、この1枚で片側20分、裏表で40分ぐらい掛かりました。

before

after   です。

完璧には落とせないので、この後で錆び落とし剤を塗り、更にワイアーブラシで擦ります。

 

全ての金具の錆び落とし完了です。ルーターのモーターがダウンする恐れがあるのと、モーターの振動で右手が使い物にならなくなる可能性があるので、1日に2時間ぐらいが限度です。

金具の錆び落としで1か月弱掛かってしましました。

蓋を連結していた蝶番を試しに黒染めしてみました。錆び落としが完璧とは言い難いのと、表面の均一性が悪いのでムラになっていますが、古物の再生という観点からすると、相応の雰囲気になっているようです。

黒染め液・油落としのシンナー・ウエス等々の黒染めキットを揃えて、施主様の所に持ち込み、黒染め工程をやってもらいます。

施主様は物を作るのが好きなようで、リノベの図面に「作業室」っていう部屋がありました。蝋燭作家でもあるようです。多分喜んでやってくれると思います。

つづく

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