塗装準備編
本体の外側を電動鉋で削ってみました。この辺でやめないと木地が薄くなりすぎるので、後はサンダーに任せます。120番ぐらいで始めようかな。
いずれにしても完全な平面にはならないでしょうが、それもリペア品の魅力と思ってくださいませ。
新しい材料で作れば釘なんか使わずに、簡単に出来るのは解ってるんですが、それじゃあ「修理した」ってことにはなりませんからね。
先にこんなものを作っておきます。木枠を組んで、集塵機のサイクロン下でチャンバーとして使っている厚手のポリ袋を貼ってあります。
私の漆ムロには入りきらない大きさで、塗装も工房でやろうと思っているので、簡易ムロです。この時期なら温度は十分すぎる程高いし、湿度も65%ぐらいはあるので、ムロは要らないかもしれませんが、埃避けの意味もあるし、湿度が若干不足することも考えて念のためです。
研磨後に導管や細かい傷を埋めるために砥の粉を塗り、下地漆を塗りました。湿度が70%前後になるようにして簡易ムロでカバー。
ところが翌朝になっても、翌翌朝になっても乾きません。
慌てて師匠に電話
「下地漆が乾かないんですけど。目止めに砥の粉を塗ったんですが。」
「え?砥の粉?錆漆(砥の粉と下地漆を混ぜたものです)じゃなくて?そら乾かんでしょうねえ。砥の粉が漆の水分を吸ってしまいますから乾きません。下地調整は錆漆って教えたでしょ。」
「いや、錆漆だと黒くなるんで、それが嫌だったんです。」
「導管や凹んだところだけに錆漆が残るように徹底的に研いだ後から、更に下地漆を塗るのが常道です。気温は30度以上あるんで、湿度を80%ぐらいまで上げて乾かしてみてください。それでだめなら、やり直しですね。」
幸い熱湯を張った鍋を入れて何とか乾かすことが出来ました。
漆っていうのは決まった手順と方法を守らないと決してうまくいかないってことを学びました。ちょっと遅すぎるけれども・・・・。
真鍮の薄板(0.2mm)2枚。
幾らなんでもこれはいかんじゃろう。それに、真鍮の飾りワッシャーを打つなら鉄釘じゃあなく真鍮釘にするぐらいの気遣いがあっても良いじゃろうに。
抜くためのポンチ。金属用は無いし、別注するとかなり高価なものになりそうなので、メーカーに相談してこれにしました。切れが悪くなったら内側を研げばいいよって教えてくれました。
チェリーの板の上で2枚ほど試しに抜いてみました。円周部が巻き込まれ気味になるので後で叩く必要がありそうです。センターの釘穴は使い古しの千枚通しで簡単に開けられます。
う~~む、これはいかんなあ。表面の凹凸が解消され切っていないので、気を付けてなるべく薄く塗ったつもりが凹部分に溜まり、夏場の高温多湿で漆の効果反応が早いのであちこちに「縮み」が出来てしまいました。
それを取ろうとしてペーパー掛けしている途中ですが、部分的に木地近くまで削れたところが散見されます。
導管が深くなった部分も漆が埋めきれないようです。
検討の結果やり直します。朝一番で厚めに塗り、エアコンを23度設定にして湿度50%以下を維持してそのまま翌朝までエアコンを止めないで、指で触ってべたつかない処まで乾燥させることにしました。
液だれが怖いので一度に全ての面を塗るのは不可能なので、4回ぐらいに分けて順次塗るとして、5~6日はエアコンを掛けっぱなしの作業になってしまいます。
車輪と車軸、車輪覆いは全て新調しました。材の傷みがひどかったのと、アバウトすぎる加工を許容できず、新調しちゃいました。
こっちは漆ムロが使えるサイズなので自宅で塗ります。
組上がりです。
車輪覆いと車軸に対して5mm程の余裕を見て車輪を付けてあります。余裕分で車輪が左右に振れながら廻るので、斜めに引っ張られてもある程度動きに付いていけるはずです。
接地面は下地漆だけで、花塗りはしてありません。接地面との摩擦ですぐに剥げてくるでしょうから。
つづく