カナディアンカヌー 木工制作

痛恨事!!3題

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痛恨事!! その1

工房に覚えのあるローテーブルが帰ってきました。去年の12月に納品した、「何が何でもチョー軽いテーブル」っていうご要望で製作したものです。

「あの~、なんかテーブルの真ん中に隙間が空いてきたんですけど・・・。1ミリぐらいの隙間なんですけど、そのうち閉じてくるんでしょうか?何かを埋めて補修できませんか?」っていう電話が掛かってきました。

「う~~ん、向こう側が透けて見えますか。すぐ行きます。いえ、補修は出来ません。作り直します。スミマセヌすみませぬ。」

っていう事で引き取ってきました。

4枚矧ぎの甲板の中央部の矧ぎが切れています。

ブルーのラインは剥ぎ面でない位置にクラックが入っています。この部分は接着剤で固めてあるので、弱い部分に亀裂が入ったと思います。

幅900X奥行き550の甲板ですが、幅方向両サイドに12センチ幅の端嵌めを配置してあります。

幅が550ではあるし、甲板厚が15mmなので、甲板と端嵌めの接合は木端まで貫通した溝を突き、雇サネを入れています。

普通はサネの接着は中央部分1/2ぐらいで、両端は1/4づつフリーにして材の収縮を逃がすんですが、今回は550だったので、接着剤で固定しても良かろうと判断し、全部に接着剤をいれました。

制作時期も12月の乾燥期なので、膨張方向に動くことがあっても、収縮方向は大丈夫だろうと思ったのが運の尽きです。

木工人にとって最悪な結果を招いてしまいました。恥ずかしいやら悔しいやら・・・・。反省して出直しまっす!!

ちゃんと理論どうりやらないからこういうことになるんじゃね。反省だけならサルでもするじゃろうが。

今度は大丈夫じゃろうね、頼むよ2号君。

痛恨事!!その2

カサゴが14匹、アコウ(キジハタともいう)の小学生クラスが1匹です。3~4人でカサゴ三昧が出来る量ですね。

2泊3日で恒例の山陰釣行をしたんですが、初日は雨が激しくボートは出せずじまい。

2日目は何とかボートは出しましたが、うねりが強くて全く釣りにならず、早々に撤退。

3日目の午前中だけ何とか釣り始めたんですが、最初の2時間半は釣れるのは磯ベラだけ。そのうち餌の青イソメが死んでいることが判明。

死に餌じゃあつれません。諦めて帰り支度しようかと思っていた矢先に、イトヨリの赤ちゃんが釣れました。

ひょっと思いついて、この赤ちゃんを解体して切り身にして釣ってみようと思い立ちました。

そこから1時間足らずの釣果が上の写真です。

若い時は大物狙いもしましたが、ここ30年以上は専ら近場で「カサゴ師」を決め込んでいました。しかし、年々「磯ベラ」っていうヤクザな魚が増え、カサゴが釣れなくなっていました。ここ数年は3日で幼稚園クラスのカサゴが2匹だけっていう状態になっており、釣も卒業かなあと思っていました。

いえ、磯ベラはいくらでも釣れるんです。引きも強く、暴れるので面白いと言えば面白いんですが、姿かたちと味がイケマセン。瀬戸内海に昔からいる「ベラ」=キュウセンは細長くて7色の体色が綺麗で、焼いて酢漬けにするとそれなりにおいしいんですが、磯ベラって言う奴はずんぐりした体形で、色はくすんだ赤茶色。肉質は水分が多くてべちゃべちゃな食感に加えて、変に癖のある油っぽい匂いがします。沖縄あたりの魚に近い感じで、とてもじゃないが喰えたものじゃありません。

従って釣れたら即刻リリース。とは言っても、一気に喉の奥まで飲み込んでしまう習性があるので、半分以上は針を外す段階で死んでしまいます。

つまり、3日間延々と喰いもしない魚を釣り上げては殺戮を繰り返すような行為を続ける訳です。魚側からしたら島根半島のプーチンみたいに思われていることでありましょう。全然面白くありません。

写真の釣果は15年以上前の3日間の釣果に匹敵するものです。

釣行帰りに考えましたが、

1. 突然カサゴばかりが釣れ始めたのは、餌を魚の切り身に替えたこと以      外には考えられない。

2. 海底には小魚や磯ベラがウジャウジャいて、昼間海底でじっとしているカサゴの近くに餌が到達する前に食ってしまう。その場合は泳力の強い磯ベラが餌を喰う確率が高い。

3. 磯ベラは虫エサには強く反応するが、魚の切り身には興味を示さない、または興味が薄いと思える。最後の1時間で磯ベラが釣れたのは2匹だけ。

4. したがって餌が海底の岩場でじっとしているカサゴに届く確率が高くなる。

っていう事じゃないかと思い至りました。

カサゴはどんな餌にも反応することが解っており、スーパーで売っているサバやアジの切り身でも十分釣り餌として有効なのは知っていました。

しかし、磯ベラが魚の切り身に興味を抱かないとは知りませんでした。

釣り餌は3日分で2~3千円、スーパーのサバなら3百円分も買えばおつりがきます。

カサゴが居なくなった訳じゃあ無かったんです。沢山いたんです。ただ、磯ベラが増えすぎて動きの鈍いカサゴが食う前に餌を横取りしてただけなんですね。

条件が良ければ2泊3日でこの15倍以上が釣れる計算になります。(それはそれで、誰が食うんじゃいっていう問題はありますが)、あくまで計算上ね。

30年以上オイラは一体何をしてきたんじゃろうか・・・・。痛恨の極みとはこのことじゃないですか。悔しくて悔しくて、2日程は寝つきが悪かったです。

30年の歳月を返してほしいと言っても無理でしょうから、来年から30年かけて失われた歳月を取り返す決意でありまっす!!

(しかし、写真1枚でひっぱるな~~~)

終わりまっす!!

PS:あんまり悔しいんでこの夏は再度釣行しまっす!!

 

痛恨事!!その3

漆工の方は、いま硯箱を作っていますが、写真は蓋の方です。変面に置くと、このように角が浮いています。対角線方向に撚れているんですねえ。

これだと蓋を被せた状態でカタカタ動いてしまいます。

「先生、昨日気付いたんですが、こんなことになっちゃいました。」

「あら、いけませんねえ。修正は効かないレベルですねえ。布着せの時に布を引っ張りすぎて余裕が無いんで、乾くときの収縮でこういう風になったんでしょうね。」

「やっぱ作り直した方が良いでしょうか?」

「それ以外にないでしょうなあ。ここまで来てから作り直すのはつらいでしょうが、これも修行と思ってください。」

地錆3回、錆び3回、押さえ1回、下地漆3回、上塗り2回。塗りの都度研ぎが入るので21工程が終わった段階で気づきました。塗りの11回より研ぎの10回がつらいんです。 ・・・・・嗚呼。

でもまあ、これはこれで螺鈿蒔絵の練習に使えるので諦めはつきます。

もう一つ問題があって、最初の蓋は身に対して大きく作りすぎてガバガバです。ちょっと締まりのない感じだったので、やり直しの蓋は少し小さくしました。

地錆3回、錆び3回を終わった段階で愕然としました。蓋と身の余裕が少なかったのでしょう、この段階で蓋をすると身に当たり始めたのです。

身の方は上塗り工程を終わってこれ以上厚くなることは無いのですが、蓋の方は下塗り3回と上塗り3回を残しています。多分0.3mm位は厚みが増すので、これでは蓋のできない箱になってしまいます。

「先生!えらい事ですわ。こんなになっちゃいました。蓋が出来ません。」

「あっりゃー!えらい事ですねえ。どうします?」

「いえ、2日前に気付いたんでもう大丈夫です。ショックは克服しました。作り直します。」

「ご苦労様ですなあ。頑張ってくださいとしか言えませんなあ。頑張ってください。」

てなことで蓋3号です。

1号と2号の丁度中間の隙間にしてみました。

これで駄目なら蓋4号でも5号でも作る心の準備が整っています。

とほほ・・・・・。

 

 

 

 

 

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