木工制作

仮縫いと木工スランプ

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「ザ・イス」の試作は、座面や背もたれの製作に進んで来ました。

これは背もたれ部分です。編み紐を通す穴がずら~~~っと並んでいますが、間違いが2か所あります。

一つは手前の中央が凹んだ部分。これは腰椎を受ける部分なんですが、凹みの方向を90度間違えています。本当は上になっている面が凹んでいなくてはなりません。

作り直すのは手間なので、手作業で削って誤魔化します。枠が組み上がっているので機械は使えないんです。

こういうミスは精神的に応えますね。

2つ目です。さっきの背もたれの左右の部材が上。背もたれが付く外側の部材に編み紐が当たるのを防ぐために6mm幅・2mm深の溝を切ったんですが、左右の部材がキッチリ合っています。

下は座面の左右の部材。穴の位置が微妙にずれていますよね。

これが溝を切るのに使った装置?です。最初に切った溝を順次ピンに嵌めてカットしていけば等幅間隔の溝が切れます。

この部分が送り幅を決めています。今回の送り幅は13mmなので、13mmのスペーサーを噛ませていますが、これがくせものなんです。スペーサーが正確に13mmになっていたとしても、セットの加減で微妙にずれていて、正確に13mmにはなかなかならないんです。

そうすると、部材の端の方から溝を切っていくと、誤差分X送り回数で誤差が累積し、反対の端では結構な誤差になってしまいます。結果框を組んだ時、左右の穴の位置がずれてしまうという、みっともないことになります。

誤差を回避する方法は、中央から左右の外側に向かって切っていくこと。こうすれば左右の余白は常に同じになります(設計上の寸法とはずれるけどね)。

この結論に到達するまでに随分試行錯誤を重ねました。フェンスのあちこちに溝が切ってあるのは試行錯誤の名残です。

こういう事をさっさと思いつかないのは年のせい?それともスランプかなあ。

手前から座面、背もたれ、ヘッドレストが編みあがりました。

なんで紐が黒なんだって?いや、これはダミーにセットして正確な位置決めが済んだらゴミ箱行きになる運命なんです。他に用途はありません。従って麻雀椅子を作った時の残りの紐を使ったんです。黒の座面なんて、希望者がいようはずがないので、まあ廃品利用ってところですかね。

大体こういう形になります。肘掛も付けてみました。

この状態で実際に座ってみて背もたれやヘッドレストの位置・角度などを決めていきます。洋服の仮縫いみたいなものですね。

しかし、この椅子は仮に完成したとしても所謂「定番」にはなりそうもありません。

途中から気づいていたのですが、座る人=発注者の体格や体形・心地よいと感じるポイントが違うと思うんです。各部の寸法や位置が発注者ごとに違い、この椅子のデザイン上の重要要素であるカーブの形状もそれによって変わってくると思うんです。

そうすると、殆ど全ての型紙や型板・倣い加工用の治具などはその都度作り変えることになります。大まかな構造や加工手順は共用できるでしょうが、これは随分な手間と労力がかかるということです。

江戸指物の匠が「アタクシタチはゲージツサクヒンを作ってるんじゃないんです。シナモノを作ってるんです。」って言ってましたが、要するに必要最小限の時間で仕上げないと、手間賃が嵩んで値段が高くなる=注文が来なくなる=生活できないって事なんでしょうね。

この椅子はその対極に位置すると思えます。遊びでやってるんだから値段は高くしないでも良いのですが、労力の無駄使いはさすがのOYA-Gも躊躇します。

この椅子、仮に値段を付ければ18万ってとこでしょうが、発注する勇気のある人いるかなあ。

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