苦節1年、ようやく開眼です。
え?何の話だって?
いや、ほら、竹工芸ですよ。網代編みの「文庫」を作ろうと、その材料になるひご作りに悪戦苦闘してるって話は何度かしましたが、ついに難関突破の気配を掴んだ感じなんです。
「ブンコお~~~、初心者が文庫を作るなんて聞いたことがない。ま、やりたいんなら止めやしませんがね。じゃあ、幅2.8mm、厚み0.25mmのヒゴを400本用意してください。0.3mm以下は透き銑(厚みを削る道具ね)に掛からないんで、最後は小刀でしごいて仕上げてください。」
って言われて始めたんですが、やってもやっても400本なんて出来そうにありませんでした。硬くて脆い節の部分で切れてしまうんですね。
それでも歯を喰いしばって「いつかできるようになる」っていう一念で続けてきたんです。初期の生存率は、材料を100本分用意して10~15本っていうありさま。これじゃあ400本揃えるのに3000本ぐらい用意しなければならない計算です。
2か月ほど前に1つ目の山を越えたって感触があったんですが、それでも半分に届かない生存率でした。
竹工芸だけやってる訳じゃないんで、暫く木工方面に没頭していました。で、つい先日、新しい材料の竹が入荷したんで、試しに200本分を用意して再開してみました。
50本の束が4束、合計200本です。200本のひごを透き銑に掛けると、1工程で3時間半ぐらい掛かります。1工程で透ける厚みは0.1mmほどで、準備段階(これは手でやります)での厚みは0.9mm。透き銑に掛ける回数は7~8回になります。その間に節の所で切れるものが続出するって塩梅です。
写真は透き銑4回を終わった状態。厚みは0.6mmまで来ています。
なんと、なんとですよ、この段階で切れたのは11本。94.5%という驚異的な生存率です。理由?なくはないんですが、それほどはっきりした理由がある訳じゃないんです。「ある朝突然に」って奴です。
これなら最後まで行っても7割ぐらいの生存率が期待できそうです。
何だか刃物の研ぎの進歩と似てますよね。毎日毎日研ぎ続けてもなかなか進歩しないんで嫌になりますが、それでも泣きながら続けているとある日突然大きな進歩が感じられる事があります。
それで終わりって訳じゃないんで、そういう事を何度も繰り返しながら徐々に上手になっていくんですね。
GOLFも同じだったなあ・・・・。
次の200本では更に生存率が上がる予感がしています。なぜ、どういう時に切れるかということが、いくつか分かってきたようです。
しかしじゃねえ、木工の合間とはいえ、よくまあ1年も続いたものですよ。
これは「横六角底の花籠」って言うんですが、左が完成見本、右が今作っているものです。編みの方は終わっていて、加飾の部分をやっているところです。
サンプルに比べて全体の印象がシャープに見えてますか?
編み目が均等に締まっているということです。編み目を均等に締める為にはひごが均一に出来ていることが絶対条件なんです。完成見本はその点で若干の齟齬があり、それが全体に影響を及ぼして曖昧な印象になっています。
「ひごが出来たら7割以上完成したようなものです。」っていうのは師匠の口癖ですが、その点については全くの同感です。
同感ですが、「XXさんは$$師匠の家で3年間内弟子をしていたが、何一つ教えて貰わなかった。」っていうのも師匠の口癖です。
「そういう流派なんですね、先生の流派は。」っていうと、キョトンとした顔をされていました。