丁度1年前、組子をやってみようと思い立ち、最初にそろえた道具たちです。

真鍮のハタガネのうち、長いほうの2つと、一番左端の白柿は手持ちのものです。
左下の腰方2丁白柿は特殊なもので、あまり売っていません。3mm以下の幅を描くのに使うものです。たまたま以前から付き合いのある「曼荼羅屋」にあったので買っておきました。

左2丁はNAKAYAの精密胴付鋸。1丁は普通に挽く時用、もう1丁は決まった深さを挽く時用です。3番目はSUIZANの0.3ミリの胴付き。NAKAYAが厚さ0.2ミリ、挽き幅0.3ミリに対して、SUIZANは厚さ0.3ミリ挽き幅0.5ミリです。この2つの胴付き鋸はある目的のために必須の道具なんです。その辺のことは後日ゆっくりとお話しします。
一番左がSUIZANのダボ挽き、つまりアサリの無い鋸です。工房ではカネジュンのダボ挽きを使っていますが、厚みのあるこのダボ挽きが組子には使い易いだろうと思って導入しました。
で、今日の本題は何かっていうと

これです。「コロがんな」又はゴロ鉋。
前回もちょっと触れましたが、最初の難問は如何にして所定の厚さの材料を作るか、しかもプロが使ってる高価な機械を使わないで(いや、使えないんですけどね、お金の問題で)作るかって事なんです。
プロの組子職人は、例外なく組子専用に開発された小型の自動鉋盤と超精密鉋盤の組み合わせでやってます。でも、こういう機械の無い時代だって組子職人(というよりも、建具職人は組子が必須必須だったような気がする)は居たわけですよ。その人たちのやり方を踏襲すべきでしょう。
コロ鉋っていう特殊な仕立ての鉋があるってことは教科書に書いてありました。でも、どうやって作るかは闇の中。この問題の答えは、たまたま何気なく見ていたインスタの中にありました。「mitsu829」っていう人のショート動画に出てきたんです。
写真は2.1ミリ(なんで2.1ミリって半端なのかは、そのうちわかります。ちゃんと理由があるんです。)の材料を作るために2.2ミリの下駄(2枚の薄い板)を履かせたのを、外しているところです。本には「引付け独鈷」っていう金具で固定するって書いてありましたが、いくら探してもHITしないんでHCに売ってる超低頭ビスで代用してます。
鉋刃の下15ミリほどの位置に渡してある竹製の部材で加工材を抑え込み、材に刃が喰いこんで引付け、削りすぎないようにするんです。

下駄と組付ける「超低頭ビス」です。ビスの頭は鑢で削って更に薄くしてあります。

この竹の部材で加工材が刃に食い込んで台から浮き上がり、余分に削れる事を防ぎます。

竹の部材は蟻型に掘られた溝に仕込むんですが、その中に竹部材を押すバネを仕込んであります。教科書では板バネを使ってましたが、板バネのサイズやら反発力の選択とコントロールが難しそうなので、コイルバネを使うことにしました。これならバネを任意の位置で切って、反発力をコントロールすれば良いでしょ?コイルバネはHCで売ってる奴にしました。ミスったらいくらでも替えがききます。

バネが竹の部材を押してる画像です。
ここまでスラスラ解説してきましたが、インスタの動画を見つけてから1週間ぐらい掛かりましたかね。その間泣きたくなるぐらい必死で考え抜きながら進めました。こういう時間が楽しいんだよね。刺激的でワクワクします。
使ってる鉋は「謙信」っていう与板の寸六鉋ですが、鉋棚の中でひっそりと埋没してた可哀そうな奴です。今回のご指名で一躍世に出ることになりました。
次回はこの鉋を使って、実際に組子材を作る模様をお届けします。
賢明な諸兄は既にお気づきの事と推察致しますが、本ブログはその主たる内容を家具製作から変更し、「組子ブログ」として再出発致す所存であります。