随分のご無沙汰でした。スミマセヌすみませぬ。
早速ですが、竹工芸のほかにやってるのは漆。これがなかなかアナドレヌのです。
カーリーのメイプルに「朱合漆」塗りで、螺鈿と研ぎ出し蒔絵の「ツユクサ」模様です。
下は1作目の藤花模様で、最終的には夏の花シリーズ4枚組になります。
3枚目はアジサイ、4枚目は思案中です。
この2枚で半年近く掛かってるんですが、2枚目のつゆ草を完成してから進捗が止まってしまいました。
完成品を見ていて、重大な欠点に気付いてしまったのです。
模様以外の「地」の部分、一見綺麗に仕上がっているようですが、注意深く見ると極く小さな傷が全体に見受けられるのです。今までは気にしてなかったのですが、気づいたとなると放置できません。
「ごく小さな擦り跡のような傷が見えるんですが・・・・」
「気づきましたか。私の所に通い始めて4年ですよね、4年でこの傷が見え始めたとおもってください。普通にやれば必ず克服できます。私の場合は始めてから5年かかりました。気づいてから克服するまでは随分迷いましたが、ある日突然できるようになります。」
「いろんな人に聞いて回りましたが、人によってやり方が微妙に違う様です。その人に合った方法を見つける以外にないと思います。」
「今まで教えたやり方は最大公約数的な方法です。この傷に気付いてから先のやり方は、あなた自身で見つけるより他ありません。その覚悟でやってください。飽きずにやれば必ず解決できます。」
という訳で、3か月強の期間考えられるありとあらゆる方法を試しながらも挫折に次ぐ挫折を繰り返し、途中で絶望感に苛まれ続けながらも持ち前の粘り強さで続けてきました。
2日ほど前、突然僥倖が。
何の気なしに試していた手板の内の1枚が、今までにない艶を放つではありませんか。成功の要因ははっきりわかっています。
特別なやり方をした訳ではありません。基本的なやり方を忠実に試しただけです。ポイントは仕上げ用の漆の乾燥時間を厳密に守ることにあったようです。
成功したと分かった瞬間、不覚にも涙がこぼれました。
夜の10時を回っていましたが、思わず師匠に電話で報告。
「そうですか、出来ましたか。できるとは思ってましたが、良かったです。電話したくなる気持ちはよくわかりますから、気にしなくて構いません。」
竹細工と違い、漆の技巧は底が知れない深さがあるようです。一つ一つの技術を確実にものにしていかなければ、いつまでたっても「似たようなものにはなっているが、水準に達していなくて技量不十分。」ということになるようです。150歳ぐらいまで生きなければいけないんだろうなあ・・・・。
おまけです。
持ち込まれてきた枝。ケヤキやら杏やらの様です。
腐れが来ている物もあるようです。
作ったのはこれ。
インコのジム/ 止まり木ですね。
HP経由で依頼があったんですが、おいらの稼業は「家具」なんであって、こういう物を作るのはちょっとなあと思いながら、受けちゃいました。
ま、面白かったから良いんですけれどもね。
チャオ