底板の桐材は25センチ幅程の2分板をイモ継ぎしてあったんですが、これも接着剤が劣化して切れている部分が多いので、矧ぎ面を縦挽き鋸で挽いて分割しておきました。
140センチ強の幅広の薄板を鉋掛けするのはほぼ不可能って事もあります。
鋸で挽きながら気づいたのですが、どうも真面目に鉋掛けした様には見えません。プレナー掛けだけでないのは、ナイフマークが見えないので鉋は掛けてあると思うんですが、それにしてはランダムな凹凸が各所に見受けられるんです。逆目掘れの跡も何か所か見受けられます。
このレベルの程度の悪い桐は、そもそも鉋の仕上げ映えが悪いんですが、それにしても雑な仕事です。
これは引き出しの向板の裏側なんですが、何かで引っ掻いたような跡が残っています。他に何か所もありました。
そもそも引き出しの材料がおかしいです。前板は山桜(多分)にタモの玉杢のべニア貼り、側板はラワン?、向板と底板は桐なんです。
前板と側板の仕口は包み蟻でピシッと仕上げてあるのに、この材料の選択はどういう事なんでしょう。
側板にこんな盛大な虫食い跡がそのまま使われています。
さっきのは引き出しの外側ですが、これは内側。ちょっと考えられないです。
包み蟻の精度ままあまあです。上部に少し隙間がありますが、経時変化によるものと認めましょう。でも、一番下の黒い部分は絶対に違いますね。最初から朽ちていたと思います。
引き出し前板の上部木端。引き出した時すぐに目に入る部分です。前板見付はニスが塗ってありますが、この部分は着色だけでニスは塗ってありません。それどころか鉋掛けがいい加減で傷や逆目が見受けられます。
鉋は掛かっているとは思うんですが(機械加工のナイフマークが無い)、所謂荒仕込レベルの鉋でも、こういう風にはならないんですが、不思議です。傷の部分に汚れが付着し、無残な状態になっています。
鉋掛けして綺麗にしましたが、汚れに含まれた微細な埃で鉋がすぐに切れ止みます。
引き出しは上下の木端は鉋掛け、その他はサンディングで綺麗にし、側板と向板の外側は汚れ防止の為に蜜蝋オイルを塗ることにしました。
内側の処理は考え中です。そのままでは駄目だし、塗装もしっくりきません。夢の中で解決策が見つかることを熱望する次第であります。
あ、断っておきますが、今回のは長いですよ。多分「その10」ぐらいまで続くと思います。
相応の覚悟を持ってお付き合い願う物であります。
その3に続く。